Column
コラム
想い出の服を、二度目の人生を——帯がバッグに生まれ変わるまで

「思い入れはあるけれど、もう着ることはない」。クローゼットの奥で眠る服や着物を、誰もが一枚は持っているのではないでしょうか。
捨てられないのは、モノではなく記憶だから
初めてのプレゼンで着た勝負服。母から譲り受けた帯。処分をためらう理由は、モノへの執着ではありません。そこに宿った記憶を手放すことへの、罪悪感と寂しさです。だからこそ「断捨離」の掛け声だけでは、クローゼットは片付かないのです。
帯がバッグに生まれ変わるまで
以前、環境事業を営む経営者の方から「中古の帯をアップサイクルしたい。できれば、すべて土に還る素材で」というご相談をいただきました。鶴柄の美しい帯は、竹のハンドルを添えたバッグへ。余り布はPCケースとスマホケースへ。一本の帯が、毎日を共にする道具一式に生まれ変わりました。
「完成品が届いた時は嬉しくて、何度も眺めていました」という言葉が、この仕事の本質を表しています。私たちが届けているのは、リメイク品ではなく「記憶の続き」なのです。
解体と再構築は、プロの仕事
古い布は繊細で、解体にも縫製にも経験が要ります。単なる「お直し」ではなく、いまの暮らしに最もふさわしい形への完全な再構築。三代続く仕立ての技術は、こんなところにも活きています。
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